なぜ日本ではバゲットを斜めに切るのがスタンダードなのか?
先日、某大手製粉会社のHPのフランスパンの切り方に関する
記事が目に留まりました。
「フランスパンの切り方の基本は斜めスライスです。」
うむ、、確かに日本ではバゲットなどのフランスパンを
斜めに切るのを非常に多く見かけます。
でも、フランスではバゲットを斜めに切るほうが珍しく
バゲットの切り方は「まっすぐ」がスタンダードです。(※1)
かれこれ20年近く
「なんで日本人はフランスパンを
斜めにきるようになったのだろうか?」
といろいろと考えたり情報を探しているのですが
なかなか決め手になる文献に辿りつきません。
そこであれこれ考えた結果私なりに仮説を2つ立ててみました。
仮説①:アメリカ人が斜めに切って食べていたから?
有名な話ですが、イタリア人はパスタを食べるときに
スプーンは原則使いません。ですがなぜか日本では
「パスタはフォークとスプーンで」と言うのがスタンダードです。
どうしてそうなったかというと、戦後日本でアメリカ人が
スパゲッティをフォークをスプーンで食べていたのを見て
「なるほどこれが本場の食べ方なのか!」
と勘違いしそれが広まったそうです。
フランスパンに関してももしかしたら
日本に来たアメリカ人が斜めに切っていたから?
アメリカ人発祥なのでは??と思っておりますが真相はいかに?
仮説②:薄く斜めに切って食べなけれは食べられないほど
昔のフランスパンは引きが強かったから?
もう40年前ですが私が覚えている子供の頃のフランスパンというのは
硬いというよりも奥歯で噛みしめて手で引っ張っても
ちぎれないくらい引きが強いフランスパンでしたよね?
あの当時の多くのフランスパンは薄く斜めにスライスして
軽くトーストしないと引きが強すぎて食べるのが
非常に困難だったんです。
今考えると信じられないパンですが
でもあのフランスパンがちょっと懐かしかったりして(笑)
私はパンの製造は素人なので詳しいことはわかりませんが
多分日本のフランスパン初期はフランスパンにはふさわしくない粉で
無理矢理作っていたのではないでしょうか?
始まりがそんなフランスパンだったために現在に至っても
バゲットを斜めに切って食べるのが
今日の日本に浸透しているのでは??
これも私の勝手な仮説ですが真相はいかに?
いろいろほかにも仮説はありますが
現在日本では斜めにバゲットを切るのが定着し
食べ方・売れ筋バゲットの傾向も斜めに切るのに適している
方向に向かっていると感じています。
日本では
・かじって食べるから薄く斜めに切ったほうが食べやすい。
・切り口に何かを乗っけて食べたいから
斜めに切って断面がより多いほうがよい。
・クラム(中身)のもちもち感を重要視するバゲットを好む傾向にある
など
ですがフランス人のバゲットの食べ方というのは
・原則かじらない。一口大にちぎって食べる。(※2)
・クルート(皮)の香ばしさが命。
・そもそもバゲットは皮のおいしさを楽しむもの。
など
日本人がバゲットを斜めに切って食べることに関して
よくないとかそういうことを言うつもりは毛頭ありませんが
でも「斜めに切るのがスタンダード」というのが
「パスタはフォークとスプーンで食べるのが当たり前」と同様に
本来の食べ方を知らずに
浸透してしまっている点についてはすこし残念に思っています。
フランス被れな私としては
やっぱり本来のバゲットの食べ方楽しみ方を
もっともっと日本に広めていきたいなぁと常日頃思っております。
もし日本人がフランスパンを斜めに切るようになったルーツを
ご存知の方いましたら情報提供お待ちしております。
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※1 絶対というわけではありません。
斜めに切る人やレストランもありますし
バリのバゲットコンクールの審査時などにはクラムの
気泡やきめ細やかさチェックするために斜めに切ります。
※2 フランス人も朝はタルティーヌにしてバゲットをかじって食べますが
斜めではなく真横に切り開いてジャムなどを塗ってかじって
食べるのがスタンダードです。
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「レストランでパンにオリーブオイル」って?
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和服でパンとチーズ
日本の食料自給率は先進国最低ですが パンの小麦粉の自給率はそれとは比較にならない低水準です。 以前コラムでもご紹介しましたが これはとても深刻で難しい問題です。 いちパン好きとしてほんの少しでもいいから何か役に立てることはないか? と日々あれやこれや思案しております。 話しはいきなり変わりますが 思うところがあって思い切って和服を買ってみました。
↑初めての着物デビューで立ち寄った 和服でパンとチーズ。 これはpan-ya.comの具現化の一つの形。 和服を着てパンとチーズを食べろ というわけでは決してありませんよ(笑) 常日頃「パンの本質」をもっと深く知りたいと思うなかで 気付いたことがあります。 それは「その土地に根付いた食べ物に勝るものはない」ということ。 例えば「日本はお米がおいしい」ということ。 日本ならではのバラエティーに富んだパンもとても魅力的ですが 歴史ある欧米諸国のパン文化圏での その土地に根付いたパン文化・食文化にももっと目を向けてほしい。 これらの魅力をすこしでも多くの方々に伝えることができれば 日本に根付いた歴史ある食文化のすばらしさにも目を向けてもらえのではないか? きっかけ作りができるのはないか? そんなことを思ってたら、少しづつでもいいから食に限らず 日本の伝統文化にも目を向けてみようと なんだか和服を着てみたくなったわけでして(笑) 正直着慣れてないから疲れますが 背筋も伸び、心も心地よい緊張感で いままで感じたことのない清々しさです。 これからは和服を着てお出かけが増えそうです♪ |
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「焼き立てほやほやのパン」はお嫁サンバ
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パンは音楽
世界にはさまざまな音楽があります。
日本には日本の音楽。
フランスにはフランスの音楽。
アメリカにはアメリカの音楽。
音楽は大抵が生まれ育った国や環境の中で聴いたきたものが
自分の好みの音楽になる傾向にあります。
例えばの話ですが
日本の音楽ばかりに慣れ親しんだ人に
フランスで人気の音楽を聴かせたとしましょう。
ほとんどの方にあまり関心をもってもらえないだろうと思います。
(大袈裟な話、AKBとかももクロのファンに
ジェーン・バーキンの歌をオススメしても
まず聴いてもらえないでしょうね。)
フランス音楽には多くの素晴らしい作品がありますが
日本ではあまりヒットしてませんよね。
なぜなら、同じ音楽であっても
主に日本の音楽を聴いて育った人たちにとって
フランスの音楽を真の意味で理解することが難しいからです。
フランスの音楽を心から理解するためには
たくさんフランスの音楽を聴き込み
フランスを良く知り
フランス人のエスプリ(精神)を感じることが必要なのです。
これは聴き手に限った話ではなく
歌い手も同じなのではと思います。
たとえば・・・
平井堅や今井美樹あたりがフレンチポップを歌ったならば
もしいままでまったくフレンチポップを歌った経験が
なかったとしても、きっと持ち前の歌唱力で
それなりに上手に歌ってくれることでしょう。
でもそれは日本人にはいい感じに聴こえるかもしれませんが
フランス人や日本のフレンチポップ愛好家に聴かせたら
きっと「ちょっと違う。」と言わそうな気がします。
上手は上手でもそれはフレンチポップではなく
「フレンチ風ポップ」なのです。
とはいえ・・・
音楽は世界中どこにでも溢れています。
音楽性が高いとか低いとか
本格的だとかそうでないとか
上手とか下手とか
いろいろと評価・区別をされたりしますが
いろんな音楽があっていいと思うんです。
そこで、2013年日本のCDシングルセールスランキング。
1位 : 195.5万枚 … AKB48 「さよならクロール」
2位 : 147.6万枚 … AKB48 「恋するフォーチュンクッキー」
3位 : 125.7万枚 … AKB48 「ハート・エレキ」
4位 : 113.3万枚 … AKB48 「So long !」
5位 : 101.1万枚 … EXILE 「EXILE PRIDE ~こんな世界を愛するため~」
6位 : 88.1万枚 … 嵐 「Calling/Breathless」
7位 : 67.2万枚 … SKE48 「チョコの奴隷」
8位 : 66.0万枚 … SKE48 「美しい稲妻」
9位 : 55.8万枚 … NMB48 「僕らのユリイカ」
10位 : 55.7万枚 … 嵐 「Endless Game」
AKBってすごいですね。調べてびっくり。
AKBの楽曲が音楽性が高いとはお世辞にも言えませんが
どんな音楽でも大事なのは
音楽が聴く人の心に届いて心を豊かにしてくれるということ。
その人が聴きたい音楽がその人にとってのいい音楽なのですから。
(とは言いつつも本音をいうと「これでいいのか日本の音楽業界?」
そう思ってる方も多いかと思われます。。)
ただやはり、そのジャンルにおいてその道を究めた
アーティストの音楽というのは格別なものです。
私は芸術的なフランス音楽が大好きです。
日本では馴染みのないフランス音楽を
真の意味で理解するために
多くのフランス音楽を聴き込み
フランス語やフランスの知識を身につけ
最大限、聴き手としての努力をし続けたい。
私はそう思うんです。
で、音楽の話ばかり書いてしまいましたが
ある日ふと「パンって音楽と同じだなぁ」って思ったんです。
上の文章の
「音楽」を「パン」
「聴く」を「食べる」
「歌う」を「作る」
に置き換えてみると・・・
「AKB」は「コンビニパン」ってとこでしょうか。
まぁこれは音楽やパンに限った話ではないですし
私の個人的な思いがこめられてますが
この思いは
「ハード系食事パン専門情報サイトを作りたい」
と思った理由のひとつでもあります。
つづく。
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「Company」という言葉の語源
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